まるまるこふこふ

数々の次元が崩壊し、全ての生命が塵と化すのを見てきた。私ほどの闇の心の持ち主でも、そこには何の喜びも無かった。

英会話もシャドーイングも発音訓練も避けて英検1級に受かる

さいです。普段はソフトウェアエンジニアをやっています。英語学習をしていて、先日その成果が実って、英検1級に合格することができました。国内の英語最難関資格の一つであり、TOEIC900~950相当です。

英検1級に合格したのですが、今まで英会話やシャドーイング、発音訓練はしたことありません。※英会話のみ、正確には嘘です。後述します。

今日はその合格に至るまでに英語学習の中でやってよかったことを記述したいと思います。

メンターを捕まえる

英語学習は継続が重要です。毎日継続できるかが大切になってきます。しかし英語学習は苦痛です。単語は暗記せざるを得ないし、文法は例外だらけで個別の事象を一つ一つ暗記していかないといけないし、リスニングやスピーキングは耳や口といったフィジカルを鍛えていく作業となります。

例えばコンピュータ・サイエンスの学習は、一つの概念を学ぶと、他の概念に適用できるので、学べば学ぶほど理解が加速していく現象に出会えるし、コンピュータというものがどうやって動いているのかという「なぜ?」に答えてくれる知的好奇心が満たされる行為です。しかし英語はそういったものではなく、知的好奇心を満たさない学習という作業を続けていくことになります。正直苦痛です。

メンターに自分の学習をフォローしてもらえると、英語学習を継続しやすくなります。自分はメンターと言える人物に出会うことができ、その方に週1回の1時間でリーディングのわからない点をフォローしてもらっていました。Economist や Newsweeks の記事から課題を出してもらって事前に精読し、その中で読めなかった箇所や、発生した疑問点を教えてもらうということを続けていました。

個人的に教えてもらっている以上、課題をこなさなかったり、あるいは学習をやめてしまうと、相手をがっかりさせてしまうし、それは嫌だったので、毎週の課題を継続することができました。オンライン英会話の講師だとこうした責任感は生まれにくいので、個人的にメンターを捕まえて教えてもらうのは良いと思います。

また英語の学習方法についてもアドバイスもらうことで、英語学習に対する興味を持ち続けることができました。

メンターを見つける上で重要なことは、相性だと思います。英語学習に対するスタンスが一致していて、かつパーソナリティも一致しているのが望ましいです。逆に英語の講師である必要はないし、メンタリング経験がある必要もないと思います。自分より英語力が高い1学習者で問題ありません。

自分のメンターはリーディングインテンシブな学習をしており、本記事で次に述べるように、リーディングがあらゆる英語力の根源というスタンスの方でした。自分もリーディング力をまず向上させたいと思っていたので、このスタンスは好意的でした。もしシャドーイングの大切さや、英会話の大切さを説かれていたとしたら、ここまで英語学習は続けられなかったと思います。

またパーソナリティもどちらかといえば内向的でオタク趣味であり、これも私と一致したのも相性が良かったです。海外旅行大好きなタイプの人とか、キャリア向上に強い意識のあるタイプの人ってどちらかといえば苦手意識を感じていたので…。

自分の場合はメンターにリーディング学習のフォローまでお願いしていましたが「学習方法を定期的に相談できる信頼できる相手」というだけで十分だと思います。繰り返しますが、自分と相性の良いメンターを見つけましょう。

リーディングにまず注力する

4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)のうち、まずはリーディングを高いレベルまで上げることをオススメします。なぜならリーディングはすべての能力の根源だからです。

読んでわからないことは、リスニングしてもわかりません。リーディングが自分が理解できるまで時間をかけることが可能な一方、リスニングは1度聞いてすぐに理解しないといけないことから、リーディングよりリスニングの方が高い情報処理能力を要求されるからです。

また読んで理解できないことは、ライティングできません。自分が理解できてないことを書けるわけないのです。

そしてスピーキングという行為は、リスニングをしながら、その場でライティングするようなものです。当然リスニングとライティングができないと行えません。

逆にいうと、リーディングを高いレベルまで引き上げることで、他の3技能をより効率的に学習することができます。

リスニングで聞き取れない原因は「意味が理解できなかった」「聞き取れなかった」の2つですが、リーディングが高いレベルでできていれば、前者の「意味が理解できなかった」可能性を潰すことができます。テキストになっていれば読めるはずなので、リスニング学習でフォーカスすることは「発音と単語を紐付ける」「リダクションやリンキングに慣れる」といった耳で聞く練習だけになります。

リーディングで単語と文法が高いレベルでできていれば、ライティングではそれらを使いこなす訓練をするだけとなります。

リーディングにまず注力することは、恐らく4技能を満遍なく向上させるより効率的に学習できるかと思います。シャドーイングも発音訓練も英会話もこの段階では不要です。

リーディングスキルが足りないままシャドーイングをしても、意味や文構造が理解できていないので頭に残らないでしょうし、英会話をしても喋れる文のレパートリーが増えたりはしないでしょう。

シャドーイングや英会話は、英語にまったく触れてない人が、英語に慣れる上では有効ですが、慣れる以上のことを提供しないと思います。

リーディング学習方法

1.単語と文法

単語と文法はリーディングスキルの基礎です。特に文法知識は抜け漏れがあると非常に学習効率が落ちるので、理解しきっておきます。

文法

文法はそこまで高いレベルは必要ありません。高校知識で十分です。自分は高校知識が既にあったので特に文法学習はしませんでしたが、一般的に Forest がよくオススメされているようです。

単語

自分のレベルに合わせて、始めると良いと思います。本屋に行って、単語帳を難易度の低い順に眺めていき、5割くらい知らない単語帳に出会ったら、それが適切なレベルの単語帳だと思います。

自分の場合、英検準一級の単語帳を眺めたところ、そこそこわかるものも多かったので、いきなり英検一級の単語帳を始めました。

また英検一級対策としては、パス単は抜け漏れが多く、パス単を極めるだけでは高得点を狙えなかったので、自分は、でた単アプリという非公式の英検1級の単語アプリもやっていました。

英検®1級 でた単

英検®1級 でた単

  • Namiko Takahashi
  • 教育
  • ¥980
apps.apple.com

play.google.com

単語が頻出度に応じてカテゴリABCあるのですが、カテゴリAとカテゴリBまでやれば、英検一級の単語ではおおよそ8~9割取ることができました。

2.英文解釈

単語と文法を学習しただけでは、読めるようにはなりません。「単語の意味はわかるが文章の意味がわからない」「文法はわかるが文章を実際にどの文法に当てはめればいいのかわからない」といった課題にぶち当たります。単語と文法を実際に使いこなすための英文解釈の訓練が必要になります。

いくつか英文解釈の本はあります。難易度が最も高いのですが、これが自分はオススメです。英文を一つ一つ、どういった読み方をしていくのか、解釈するときにどういった案があるのか、といった「文章の解釈の仕方」を実際の文章を使いながら解説してくれます。

内容が濃いため、1冊仕上げるのに非常に時間がかかり、かつ学習負荷もありますが、この1冊を理解しきれば、英文解釈は問題ないと言えます。

3.精読

実際のドキュメントを読みながら、鍛えた英文解釈を精読していきます。時間をかけてでもいいので、1つの文章が、どういった文法を使って、どういう構造なのか、単語はここではどういった意味で使われているのか、わからない単語があればどういった意味で使われているのか、を調べながら読んでいきます。

非常に時間がかかります。ですが文章を早く読むということは、これらの精読プロセスを一瞬でやっているだけに過ぎないのです。精読できないまま速読する訓練をしても、それは文章を理解しないまま目で追っているだけに過ぎません。

たくさんの文章で精読を訓練すると、だんだん精読を時間をかけずに行えるようになります。こうして読むスピードと理解力が上がっていきます。

この精読の際に、自分より英語に詳しい人に補助をお願いするとより効率が上がります。どうしてもわからなかった文章について、文章の構造がどうなっているかを質問したり、文章の前提となる背景知識を補完してもらうことで、より学習効率が上がります。文法用語を使うこととなるので、ネイティブよりは日本人に教えてもらった方が良いでしょう。

題材は英検一級レベルであれば、NewsweeksConversation がオススメです。Economist まで読めるようになると英語で文章を読むことがすごく楽しくなるのですが、Economist は難しい表現や例え表現が多いので、英検一級のリーディング向けではありません。

リスニング学習方法

リーディングができていれば、リスニングというのは「耳からリーディングする」というだけになります。今まで目から頭に入ってきたことが、耳から入れるようにするだけです。

基本的に「耳で聞くことに慣れる」といった耳のフィジカルな訓練をなります。

精聴する

1.文章1つを耳で聞く
2.スクリプトを見て正解の文章を理解する
3.その文章通りに聞こえるまで聞き直す(この際に聞き取れなかった単語の発音と、リダクション、リンキング箇所も把握する)
5.文章を聞いて意味理解までできるようになるまでやる

といったことを地道に繰り返していくことになります。精聴というワードがあるかはわかりませんが、自分はコレを精聴と呼んでいます。

精聴には時間がかかります。しかしリーディングと同様に、リスニングというのは、精聴のプロセスを一瞬でやっているだけに過ぎないのです。精聴を繰り返すことで、耳で英語を聞くことに慣れていきます。ゆくゆくは聞いて、単語の意味と文法構造がパッと思いつく、そこから意味理解にすぐつながる、といった状態になれます。

オススメYoutube教材

あまり映画やドラマを見ないので、アカデミックやニュース寄りの Youtube 動画を挙げておきます。

www.youtube.com

↑英検1級対策としては一番オススメ。核兵器の是非など社会テーマの動画が多く、ライティングやスピーキングに役立ちます。また動画の時間も5分前後と短いので負荷も少ないです。

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

ライティング学習方法

文章の考え方

ライティングするには①まず何を書くか考える②考えたことを文章にする、の2プロセスが必要になります。

論旨が明確かつ一貫した文章を書くには、ロジカルシンキングクリティカルシンキングといった考え方の訓練が必要になります。ロジカルシンキングクリティカルシンキングが必要なのは日本語でも英語でも共通です。共通なので、日本語でこうした考え方ができる人は、英語でも適用できるので、特に訓練不要です。

自分は社会人歴の浅い時期にこれらの考え方を身につける機会があったため、特に意識せずとも英語のライティングの際も困りませんでした。

これらの考え方は一朝一夕で身につくものではなく、また英語学習という本筋からもズレはしますが、もし学びたい人いれば、日本語の本で構わないので「ロジカルシンキング」「クリティカルシンキング」といったテーマの本を読んでみると良いかと思います。

文章の書き方

アカデミック・ライティングという書き方があります。

  • 無生物主語を使う
  • 分詞構文や関係代名詞の非制限用法を使う
  • specificな語彙を使う

といったことを心がけることで、幼稚な文章を避けて、簡潔かつ意味の凝縮された大人の文章を書くことができます。

上記のどちらかの本を読めば、コツは掴めると思います。

書いたらネイティブチェックしてもらいましょう。意味は通るけどネイティブとしては不自然、といった文章をなくすことができます。

idiy.biz

といったサービスがあります。

スピーキング学習方法

独り言

昨今はオンライン英会話などで簡単に英語で会話する機会が得られます。しかしそもそも日本語ですら人と喋る苦手なタイプの人にとっては、初対面かつ文化すら異なる人と英語で喋らざるを得ないオンライン英会話は苦痛に感じるでしょう。私もそうです。

そういう会話が苦手な人は、独り言がオススメです。特定のトピックに関してスピーチをします。できればこの際に、録音して聞き返すとなお良いです。

独り言では表現力や文法の正確性を向上させることができます。人と会話していると、質問に対して即座に答えないといけないため、文法や表現にこだわる余裕がなく、文法や表現がなかなか伸びていきません。一方で独り言では、自分のペースで自分のスピーキングの文法の誤りや、より適切な表現での言い換えを見つけて改善することができます。

英検一級の二次試験に合格するだけなら、これだけでも十分です。自分はこれで最初の英検一級の二次試験で、通常の合格ラインである24点を獲得しました。(残念ながらこの時の試験は合格ラインが上がってしまったため不合格でした)

オンライン英会話

nativecamp.net

オンライン英会話は NativeCamp をオススメします。理由は定額で1日に何度でもレッスンを受けることができるからです。

1日30分のレッスンを毎日続けるだけでも、スピーキング力はゆっくり伸びていきます。しかし毎日英語を喋っていても、それがたった30分では現状維持になりがちです。多くの人にとっては、英会話レッスン以外の圧倒的多数の時間を日本語で話すことになるため、せっかくレッスンで英語を喋っても、次の日には元に戻ってしまうんですね。

オススメの方法として、休みの日などに1日かけて、レッスンを5~6回連続で受講するという方法があります。30分レッスンを受けた後に、30分復習をし、次の30分レッスンを受けるというのを繰り返します。NativeCamp は1日に何回でも受けられるため、こうした訓練が可能です。

おおよそ6時間くらいスピーキングに関する訓練をすることになるので、最後のレッスンではクタクタになって、全然考えがまとまらない、口が回らないといった状態になると思います。この状態で喋ることができる内容は、普段では何も負荷がなく喋ることができる内容です。あえてこのクタクタの状態に持っていくことで、負荷なく喋ることのできるスピーチを増やします。

自分はこうした訓練のおかげで、日本語脳と英語脳の頭の切り替えが容易になりました。日中に仕事でたくさん日本語を使った後も、容易に英語の頭に切り替えて、オンライン英会話で、特定のニュースに対して自分の意見をその場で4~5センテンスの論理一貫した意見を返すことができるようになりました。

またレッスンではただ喋るだけでなく、終わったあとの復習も重要です。レッスンが終わるたびに、喋りたかったけど、うまく英語で言えなかったことをメモしておいて、それを英作文して次回喋れるように練習します。また喋れたけれども文法的に怪しかったり、曖昧な使い方をしてしまった単語を、復習します。

※冒頭で英会話をせずに英検一級に合格したと書いたのですが、正確には2回目の二次試験のスピーキングテストの準備に際してのみ英会話を利用しています。ただ先述したとおり、独り言だけで合格ギリギリの点数であれば獲得可能です。

発音について

第二言語学習者として高レベルを目指すだけであれば、発音訓練やシャドーイングは不要だと思います。正しい発音をする必要はもちろんありますが、それはネイティブのようである必要はないです。第二言語学習者としては日本人なまりのある英語を目指すだけで十分かと私は思います。特に英検一級のスピーキングレベルであれば、それで十分です。

もちろん、より高みのネイティブレベルを目指すのであれば、発音訓練やシャドーイングは必要になるかもしれません。ただし自分の意見を正しく伝えたいという目的なのであれば、日本人なまりのある英語でも十分伝わると、自分の経験上思います。

最後に

英検一級に合格するレベルになってくると、第二言語として英語を使う分には不自由しなくなります。例えばソフトウェア・エンジニアリングの分野には、中国の方やスペインの方が、後天的に学んだ英語を使って日々やり取りをしています。こうしたコミュニケーションでは何一つ問題なくやり取りできるようになります。ネイティブとのコミュニケーションにも混ざっていくことが可能です。ただし英検一級を取得してもネイティブレベルにはならないので、あくまで第二言語学習者として扱ってもらって、コミュニケーションできるといった形です。

ひとまず、このレベルであればシャドーイングや発音訓練を避けても達成できるという記事でした。なおシャドーイングや発音訓練の効果を否定するわけではありません。こうした訓練を避けても英検一級レベル、あるいは第二言語学習者としては高レベルに達することができる、というのが本記事の趣旨です。